どう選ぶ? 〜 赤ちゃんのための 絵本の選びかた 〜

赤ちゃんもしっかり目があうようになると、そろそろ絵本を読んであげたい… だけど、たくさんある絵本の中からどれをえらべばいいの? なんて迷ってしまいませんか? ママが大好きな絵本を読んであげるのが一番なのはもちろんですが、 あともう一冊を選ぶ際の参考に、いくつかのポイントをご紹介します。

赤ちゃんに絵本を読むということ

絵本を通したコミュニケーション

絵本を見ながらママが指をさす。あかちゃんも真似して指をさす。 こうした“共同注視”や”指差し”はコミュニケーションの基礎です。 絵本を読むことで頭が良くなるとか、いい子になるといった「効果」は、 もしあるとしても副産物。 それが目的ではなくて、あくまでコミュニケーションのひとつとして、絵本を通したコミュニケーションを楽しみましょう。

本そのものに親しむ

絵本の絵を見ながら、お話を耳で聞くのは読書の第一歩。 だんだん言葉だけでも頭のなかにイメージが浮かぶようになっていきます。 何か岐路にたったときに、他の人の似たような物語を知ることで 自分の置かれている状況がよく見えたりするように、 様々な物語は、人が生きていくための力になるとも言えるのでは。 これから沢山の物語を楽しむ力を養うためにも、 まずは本っておもしろいものだな、と印象づけてあげられるといいですね。

いい絵本とは

読む人が気に入ったものを

毎年、何百と出版される絵本のうち、 「本物の絵本」は1割にも満たないという人も。 だからといって、どんなにいいと言われるものでも 読む人が気に入っていなければ、きっとそれは伝わるものではないでしょうか。 お母さんが楽しそうに読み聞かせてくれる、 それが一番赤ちゃんにとって嬉しいことであるはず。 子どもがまだ自分で選べないころは、 まずママやパパ自身が純粋に「おもしろい」と感じたものを。 だんだん反応が出てくるようになると、 大人には思いがけないような絵本を気に入ったりすることも。 そんな発見もしながら、絵本選びを楽しめるといいですね。

長く読まれているもの

あなたが小さい頃好きだった絵本は多分、 今も本屋さんで見ることができるものが多いのでは? 大人の本とは違って、古いものほど売れているというのは絵本の特徴です。

時代が変わっても、子どもたちが本質的に喜ぶものは 変わっていないということでしょう。 本には巻末か巻頭に「奥付」と呼ばれる表記があって 出版された年や、発行されてから何回増刷されてきたかといった、 本の母子手帳のような存在です。

「30歳以上の絵本は間違いがない」などと言われたりしますが 長い間、沢山のこどもたちに愛され続けてきた絵本は、 やっぱりそれだけの魅力があるということなのでしょう。

絵が古くさかったり、地味だったりしてあまり手が伸びないかもしれませんが、 ぜひ試しに図書館で借りるなどして読んであげてみてください。 また、出版された年が最近であっても増刷の回数が多いものは、 それだけ沢山の子どもたちが喜んだということでもあります。



毎年何百冊と出版される絵本のなかで、増刷される絵本はほんの一握りです。 これからロングセラーになるであろう絵本を見つけるのも、 ちょっと楽しいですね

発達段階にあったもの

どんなにママが大好きで、沢山の子どもたちが夢中になった本であっても、 やっぱり相手はまだ赤ちゃんです。 例えば文章が長過ぎたりして絵への興味が尽きてしまったのに、 ママは無理矢理見せようとしてくる、なんてことが続くと 本そのものが退屈だというイメージがついてしまうかも。

だんだんいろいろな本が楽しめるようになっていくので、 焦らず、まずは赤ちゃんが興味を示す絵本をじっくり読んあげて。

駒形克己さんの「リトルアイシリーズ」などから始めるのもいいかもしれません。

赤ちゃんはまず白黒などのハイコントラストな色合いや はっきりした模様にまず興味を示し始めるそうです はじめは色としての認識はなく、明るいか暗いかだけ。 生後2,3ヶ月の頃から違いを意識し始め、 6ヵ月位でようやく原色の識別ができるようになるそうです。 発達段階は、だいぶ個人差がありますが、表を参考にしてみてください

赤ちゃんの絵本に大切なこと

シンプルでくっきりしていること

赤ちゃんのものというとパステルカラーのものが多かったりしますが、 視力の弱い赤ちゃんはコントラストのある絵のほうが見えやすいそう。

カラフルというよりも、白地などにはっきりと ものの形がしっかりわかるように描かれているということが大事です。

 

ことば(音)の面白さ、くりかえし

まだほとんどの言葉が初めて聞くものばかりの赤ちゃん。 同じ音を何度もくりかえし聞くことで 少しずつ音の世界を自分の見知ったものしていくんですよね。 心地いい音のリズミカルなくり返しは、 右も左もわからない音の世界の目印になるはず。 声に出したときにスムーズで、まるで転がるように読めるものを。

例:ももたろうの「どんぶらこっこ どんぶらこっこ」や、 おおきなかぶの「うんとこしょ どっこいしょ」など

安心感

たくさんの子どもたちに愛されている絵本は、 冒険をしても最後には必ずお母さんのもとへ帰ってきます。 なにか困ったことや変わったことが起こっても、さいごはちゃんと解決して、 あーよかった!という気持ちで本を閉じられることが大切です。

どうやらこの世界はたのしい所だぞ、産まれてこれてよかったな そんなふうに思えることは、赤ちゃんが生きる力になるはず。 世界から歓迎されているという安心感のある絵本を ぜひ沢山読んであげてください。

 

正確さ

絵本で初めて見るものも多い赤ちゃん。 絵本にのっているものと実物を見比べたりして ものには名前があることを理解していくということもあると思います。 その場合、あまりにデフォルメした絵よりも、 ある程度のリアリティと正確な描写が必要です。

例:くだもの http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=575
どうぶつしりとり絵本 http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=2072

正面性

生後まもない赤ちゃんは30cmくらいの距離にピントが一番合い、 正面の顔(目が二つならんでいる状態)に一番反応するそうです。 (横顔が認識できるのは8ヵ月以降という研究もあるそう) 1歳を過ぎた子でも、正面の顔がある絵本と、そうでない絵本が並んでいると、 やはり正面をむいた顔の絵本では反応が違います。 目を見て、相手の伝えたいメッセージを読み取りたいという欲求は、 人間にとってとても根源的な部分なんでしょうね。

例:10ぱんだ http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=14069
こんにちはどうぶつたち http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=7184

どう読むか

子どもの読書は「繰り返しの読書」

一度読み終えた小説を何度も読む大人はあまり多くないだろうけど 子どもは好きな絵本は何度でも読んでもらいたがります。 それは、例えば私たちがクラシックなんかのコンサートに行ったとして、 知らない曲の中に知っている曲が出てくるとホッとするのに似ているのかも。 赤ちゃんたちは、まだ知らないことだらけの毎日を過ごしているわけで、 その中で知っていることに出会うと、嬉しくなるんですよね。

この既知との出会いの安心感はとても大切で、 結末を知っているからこそ、安心して主人公と一緒に冒険ができる。 そして、その絵本体験が楽しいから何度でも味わいたい。 同じ絵本を何度も要求してくる子どもほど、 その絵本の世界をよく理解し楽しんでいるといえます。

読んだら読みっぱなし、感想をきかない!

これはもう少し先の話になりますが、 ぜひ覚えておいてほしいことがあります。 子供を確実に本嫌いにするポイントというのがあって、 「早くから文字を教える」、「自分で読ませる」、 それから「読み終えたら必ず感想を聞く」だそうです。 文字は言葉を記号にしたものにすぎず、まず必要なのは「言葉の獲得」。 そのためには美しくて心のこもった言葉を、耳からたくさん聞くこと。 そして、「自分で読むのではなく、読んでもらう」。 言葉を耳から聞き、絵を読む経験を沢山することが大事です。

文字を覚えて読んでいる子は、文字を読んでいるだけで絵を読んでいません。 「ことば」をもとに、イメージを描いてその世界を体験し楽しむことが読書です。 そして、最後に覚えておいてほしいこと。 それは、読んだら読みっぱなし、感想をきかない!ということです。 読み終えた子どもの心は感動でいっぱいです。

きっとママがどうだった?とか質問したら、その期待に応えようと 拙い語彙で一生懸命感想を言ってくれるでしょう。 でも、言葉にできなかったもやもやとした複雑な感情が そのことですとんと片付いてしまう。 また、例えばこの絵本には何匹のうさぎさんが出て来たかな?とか、 お勉強のツールとして絵本を使わないで欲しいんです。

子どもたちは賢いので、毎回お母さんがこういう質問をしていると、 お話を楽しむよりも、どういう質問をされるかなと予想して お母さんの期待に応えようとするでしょう。 ぜひ読む側も一緒になって楽しんで、あー面白かった!で終わらせてください。 豊かな読後をたくさん蓄積した経験は、 きっと後になってじわりと花開くものだと思います。


『星の王子さま』の中に、こんなセリフがあります。 「あんたがあんたのバラをとても大切に思っているのはね、 そのバラのためにたくさんの時間を費やしたからだよ。」 イライラしたりすることも沢山あると思いますが、 大人になるまでまだまだ時間がかかる赤ちゃんとの生活、 ぜひ絵本と一緒に楽しんでいきましょう★

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2017.12.10