水も泥んこも苦手。傷つきやすくて人一倍敏感なのは「HSC」かも

ひといちばい敏感な子「HSC」とは?

「The highly sensitive child」(=ひといちばい敏感な子)の略で、世界の人口の15~20%の人が「HSC」の性質を持っていると言われています。

これは5人に1人という割合になります。

「びっくりしやすい」「服がぬれたり、砂がつくだけで、すぐ着替えたがる」「細かなことにすぐ気がつく」「不公平さ、残酷さ、無責任なことに対して、感情をむき出しに怒りだす」ことがあるようだったら、もしかして「HSC」の性質を持ち合わせた子なのかもしれません。

「自分はダメだ」「自分の責任だ」と自信を失くしやすい

ひといちばい敏感な性質を持った「HSC」の子は、あらゆる刺激の多い環境下では、とても疲れやすくストレスを感じることが多くなります。

性格的には繊細感情的神経質怖がり気難しい恥かしがりや、などの言葉で表現されることが多く、周りから誤解をうけやすく、子ども本人はもちろん、その親も自信をなくし、その特徴に思い悩むことも多いそうです。




周りからは単に「わがままな子」「親が甘やかしすぎ」と見られやすい

「HSC」という言葉自体、まだ認知度も低く、その性質を持った子も少数派。

そのため、その性質が理解されにく、よくある育児アドバイスなどでは当てはまらないことも多いので、単に“わがままな子”、”親が甘やかしすぎ”など指摘されたり、またはそう取られることも多いそう。

そのため、「HSC」を知らない親にとっては、どうしてよいかわからず、一人で悶々と悩む日々が続くことも・・・。

HSCは豊かな感受性の持ち主、素晴らしい特性だということ

けれど、「HSC」は、人の痛みが分かる優しさ豊かな感受性を持ち、また注意深いので事件・事故に巻き込まれにくい、などの「長所」を持つ素晴らしい特性でもあります。

ひといちばい敏感な性質を持った子は、細かな点にもよく気がつき、全体を見渡しながらよく考えて行動するため、創造性や、危険察知能力・危険回避能力などにも優れています。

自分の子どもが「HSC」と分かれば、きっと、今までよりも温かい心で余裕を持って、我が子を見守っていけることでしょう。

HSCかどうかのチェックリスト

自分の子どもがそれに当てはまるかどうか、もし少し思い当たるパパママがいたら、ぜひ以下のリストでチェックしてみてください。

《HSCかどうかを知るための、23のチェックリスト》
『ひといちばい敏感な子』エレイン・N・アーロン著より引用~

次の質問に、感じたままを答えてください。子どもについて、どちらかといえば当てはまる場合、あるいは、過去に多く当てはまっていた場合には「はい」、全く当てはまらないか、ほぼ当てはまらない場合には、「いいえ」と答えてください。

  1. すぐにびっくりする
  2. 服の布地がチクチクしたり、靴下の縫い目や服のラベルが肌に当たったりするのを嫌がる
  3. 驚かされるのが苦手である
  4. しつけは、強い罰よりも、優しい注意のほうが効果がある
  5. 親の心を読む
  6. 年齢の割りに難しい言葉を使う
  7. いつもと違う臭いに気づく
  8. ユーモアのセンスがある
  9. 直感力に優れている
  10. 興奮したあとはなかなか寝つけない
  11. 大きな変化にうまく適応できない
  12. たくさんのことを質問する
  13. 服がぬれたり、砂がついたりすると、着替えたがる
  14. 完璧主義である
  15. 誰かがつらい思いをしていることに気づく
  16. 静かに遊ぶのを好む
  17. 考えさせられる深い質問をする
  18. 痛みに敏感である
  19. うるさい場所を嫌がる
  20. 細かいこと(物の移動、人の外見の変化など)に気づく
  21. 石橋をたたいて渡る
  22. 人前で発表する時には、知っている人だけのほうがうまくいく
  23. 物事を深く考える

<得点評価>
13個以上に「はい」なら、お子さんはおそらくHSCでしょう。しかし、心理テストよりも、子どもを観察する親の感覚のほうが正確です。たとえ「はい」が1つか2つでも、その度合いが極端に高ければ、お子さんはHSCの可能性があります。

『ひといちばい敏感な子 子どもたちは、パレットに並んだ絵の具のように、さまざまな個性を持っている』エレイン・N・アーロン著 明橋大二訳 1万年堂出版より)

HSCに見られる4つの特徴

「HSC」には代表的な4つの特徴があるそうです。

  • 感受性が強く、人の気持ち、場の空気をすぐよみとる
    (深く処理する)
  • 過剰に刺激をうけやすい
    (過剰に刺激を受けやすい)
  • 感情の反応がつよく、とくに共感力が高い
    (全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い)
  • ちょっとした刺激を察知する
    (ささいな刺激を察知する

ひといちばい敏感な子にはこの4つの特徴が全て存在するということらしいです。4つのうち1つでも当てはまらないなら、おそらく「ひといちばい敏感」な性質ではない(「HSC」ではない)という捉え方もできるそうです。

この4つの特徴を以下で噛み砕いていきます。

①深く処理する

HSCは、脳が情報を徹底的に処理するところに特徴があります。「臆病」「引っ込み思案」「優柔不断」というのは、つまり、情報を「深く」処理している、ということなのです。

じっくり観察してから考えるので、行動を起こすのに時間がかかるといった傾向なのです。他にも以下の特徴が見られます。

  • ものごとの本質を衝くような鋭い質問をする
  • 大人の会話を聞いていて、聞きかじりの言葉を使って年齢のわりに大人びたことを言う
  • ユーモアのセンスがある
  • いろいろな可能性を考えて慎重になるので、なかなか決断ができない
  • じっくり観察してから考えるので、行動を起こすのに時間がかかる

②過剰に刺激を受けやすい

以下の特徴が当てはまります。

  • 興奮することがあった日の夜には、いつまでも寝られない
  • 痛みに弱い
  • 暑さや寒さ、手足についた汚れ、濡れた衣服、足に合っていない靴などが気になってしようがない
  • サプライズが苦手
  • 人に見られたり、実力を試されたりする場面で、ふだんの力を発揮することができない

③全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い

HSCは、感情にも敏感に反応します。よく泣くのも、びっくりしやすいのも、怖がりなのも、癇癪を起こしたりするのも、感情的な振幅が人一倍大きいことからきています。

④些細な刺激を察知する

反射(脊髄神経を介して起こる反応)のスピードが速く、痛みや刺激を受けやすいです。なので、薬にも反応が出やすい特徴があります。

免疫システムも敏感で、アレルギー反応が出やすい傾向にもあります。つまり、体全体で、あらゆる出来事を敏感に感じ取っているといえます。

なので、刺激が多すぎると、普通の人に比べて、激しくエネルギーを消耗しやすく、疲れやすい傾向があるのです。

些細な刺激に気づきやすいので、小さな物音、ちょっとしたニオイ、微妙な味の違い、人や物事の些細な変化など、普通の人なら「たいしたことではない」と思えることが、HSCの子はとても気になってしまうのだそうです。

HSCの提唱者であるアーロン博士は、これについて「中には感覚器が特に発達している人もいますが、大半は、感覚器の反応が大きいのではなく、思考や感情のレベルが高いために些細なことに気づくのです。これは処理の深さと区別するのが難しい点です」と述べています。

みんながみんな内向的ではない

敏感で感受性の強い人というと、「内気で引っ込み思案」「神経質」「小さなことを気にしすぎ」といったイメージでくくられやすいのですが、必ずしもそうとは限らないそうです。

HSS(High Sensation Seeking ハイ・センセーション・シーキング)といって、刺激を追い求めるのが好きなタイプもいるそうです。

その特徴はというと、

  • 好奇心旺盛で新しもの好き
  • 冒険好き、刺激を求める
  • 退屈さを嫌う

HSC全体の中では、いわゆる内向的なHSCタイプが7割外交的なHSSタイプが3割くらいだといわれています。

ADHD(多動性障害)や自閉症、アスペルガーとも違う

HSCはADHD(多動性障害)と誤診されることも多いですが、それとは異なるものです。

ADHDは、意思決定したり、集中したり、結果を考えたりするのが苦手な傾向にあるけども、HSCは、通常落ち着いた環境下ではこれらのことをむしろ、得意とするそうです。

さらに、HSCは、自閉症やアスペルガーとも異なります。

自閉症やアスペルガーの子どもたちは、感覚的な刺激に極めて敏感なので、それはHSCと同じ傾向なので、そこがよく混同されやすい点です。

けれど、自閉症やアスペルガーの子どもたちは、場の空気や相手の気持ちには鈍感なので、そこが、HSCとは大きく異なる点といえます。

HSCの場合は社会性の部分に問題はなくコミュニケーションを取ろうとするし、空気は読みすぎるぐらいだそう。

HSCの子は、パパママに怒られると自分を責めやすい

𠮟られると、「こんなことをした私を、ママはきっと嫌いになるに違いない。だからこんなに怒るんだ。私はダメな子だ」という思考回路に入ってしまう傾向があります。

なので、自分の子がHSCだとわかったら、パパママの「叱り方」も少し気に留めて置くと良いかもしれませんね。

自分じゃなくても、周りで怒られていることにも敏感

自分が怒られていないのに、周りで誰か怒られている子がいると、それに対しても敏感に感じ取り、自分のせいじゃなかったかと問い詰めることもあったりするそうです。

我が子が怒られているわけじゃないのに、いつもと違う不安な様子をしていた時は、こういった理由もあるのかもしれません。

幼稚園の同じクラスの子が上履きを持って帰り忘れて先生に注意されたらしく、自分も忘れものして怒られるかもしれないって忘れものしてもいないうちからグズグズ泣くようなことがあるわ。これって敏感な子なのかな。
怒られるかも怒られるかもって一度言い始めたらしつこくて、ついイライラしてしまう。先生も怒るっていうより注意した程度なのに。他にも一緒に遊んでる子が親に叱られたら自分が叱られたわけでもないのに、固まったり泣いてしまったり(出典:http://kireikenkounavi.com)

生まれた時からあまり寝ない、ずっと抱っこ

HSCの提唱者であるアーロン博士はご自身もHSPだそうです。息子さんもHSCで、なかなか眠らず、よく泣く子だったと著書『ひといちばい敏感な子』で書いています。

HSC の娘は、赤ちゃんの時からとても感受性が強く、敏感で気難しい子でした。抱っこしないと、一日中ぐずって、ずっと泣いている…全然寝てくれない…やっと寝たと思ってもすぐに目を覚ます…寝ている間も私とくっついていないと安心しない…(出典:https://ameblo.jp/moonlightshadow12)

HSCはその人の生まれ持った気質であって、病気や障がいを意味するものではありません。

生まれ持ったその性質は、治したり変えたりできるものではないのです。生まれもった特性としてうまく付き合っていくことを、ぜひ考えてあげて、その子の「良さ」として、伸ばして行ってあげたいものですね。

なんでうちの子だけ・・・?と首をかしげ、自分の育て方に自信をなくすこともあったかもしれませんが、もともと、そういう性質の子だと分かれば、きっと世界は変わるはず。

子どもをありのまま受け入れたら、きっと子どもの笑顔も増えるはず。何をしなくても、環境だけでストレスを感じやすい子どもなら、なおさら、パパママだけはそのままを受け入れてあげてください。

きっと、パパママの心も楽になるはずです♪

我が子もきっとHSC

こういう自分も、子どもがHSCと最近気づきました。ほぼ、当てはまります。HSCを知ったことにより、今までの疑問が解決しました。

そういう性質なんだ、辛いのは一番本人なんだ、という視点で見るようになったら、寄り添う心が生まれてきました。

自然に、怒ることもなくなり、何かあった時は、少し注意するだけで、毎日過ごせています。子どもも、不思議と、怒られることをしなくなりました!(笑)顔つきも和らぎ、いつもニコニコ笑顔で過ごしている時間が前よりも増えた気がします。

それは、子どもだけでなく、ママである自分も。

もっと、HSCのことを、早く知りたかった、知るべきだった。

でも、大丈夫。今からでも遅くない、そう言い聞かせて、子どもにたっぷりの愛を注いでいきたいと思っています。